
日本プラントメンテナンス協会が実施した「2024年度メンテナンス実態調査」では、設備管理・保全の現場が直面する課題についても詳細に分析した。今回は報告書から、人材の定着率と採用、施策の効果を紹介する。
保全業務の課題
昨年度に比べ、増加した設備管理・保全の課題を調査した結果、もっとも増加した課題は「人材育成・確保の方法」で、回答企業の70.5%から困難度が増したと回答している(図表-1、詳細は前回記事より)。

図表ー1 増加した設備管理・保全の課題
人材の定着率と採用
さらに、人材育成・確保に直接関係する「設備管理の人材定着率や採用における課題」の調査結果を見ることにする。2024年度調査では新たに「定着率に課題があると思われる部門」と「採用がとくに難しいと思われる部門」を調査した。
「定着率に課題があると思われる部門」では1位の製造部門、2位の保全部門が他よりも高い数値を示している(図表ー2)。

図表ー2 定着率に課題があると思われる部門
「採用がとくに難しいと思われる部門」では、1位の保全部門が全体の約7割と高い数値を示している(図表ー3)。

図表ー3 採用がとくに難しいと思われる部門
上記に示したデータを整理すると、図表―4のようになり、人材不足においては保全部門がもっとも厳しい状況にあることが分かる。
よって、保全部門に対して定着率の向上や、採用に関して施策を行う必要がある。
| 定着率に課題があると思われる部門 (該当率) |
採用がとくに難しいと思われる部門 (構成比) |
|
| 保全部門 | 41.9% | 69.7% |
| 製造部門 | 64.3% | 16.8% |
図表ー4 「定着率に課題」と「採用がとくに難しいと思われる部門」
定着率、採用に対する施策
人材の定着率や採用に対して、各社が実施した施策と施策のうち、効果があったものは以下の通りである(図表ー5、6)。

図表ー5 人材定着率や採用の課題に対応する施策状況

図表ー6 施策の効果率
図表ー5と図表ー6を比べると、実施した施策と効果の順位が一致していないことが分かる。たとえば、図表ー5で1位となっている「情報技術によるムダな仕事削減」と、2位の「人に頼らない自動化」は、図表ー6では7位と8位となっている。これは、多くの企業において、施策に対する期待と、その効果が噛み合っていないことが分かる。
一方、効果のあった施策の1位、「情報技術によるスキル支援」は図表ー5では4位、効果のあった施策の2位、「仕事評価と給与の関係を抜本的見直し」は8位となっている。近年では、仕事評価と給与に関して、より高い処遇を求める声が多い。今回の調査では、人事制度の見直しが人材確保に有効であることが明らかになった(図表ー7)。

図表ー7 人材定着率や採用の課題に対応する施策状況および、施策の効果率 対応表
今後、人材の定着、採用が最も難しい保全部門に関して、企業が施策を実施する際は、図表ー6を参考にしてほしい。
第3回はカーボンニュートラルについて深掘りする。
■日本プラントメンテナンス協会のホームページでは、報告書の概要を公開しています。ぜひご覧ください。
※本記事のお問い合わせは、JIPM・調査研究チームまで rd@jipm.or.jp